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「小松帯刀弁当」の秘密

 投稿者:中年18きっぷ  投稿日:2008年12月11日(木)19時56分1秒
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  品川駅 小松帯刀辨當(法定ラベルでは本家小松帯刀弁当)(常盤軒、\1,200)

バンコクの国際空港が閉鎖中の12月2日、居住するバンコクに帰るためタイ国際航空ウタパオ行き臨時便搭乗めざし成田エクスプレス乗車前に購入。

容器は黒色紙製の既成らしきもので、小さめの掛け紙がセロハンテープ止めしてある。その掛け紙は黄色着色紙に墨一色刷りと地味ではあるが、本年のNHK大河ドラマ「篤姫」で有名になった小松帯刀ご本人の実写写真が大きく印刷され、中心には筆文字で弁当名がでかでか書かれその上に小松家のものらしい家紋が描かれる。なおこの商品名,大河ドラマを見ていなければ「こまつたてわきべんとう」と正しく読むことはまず不可能であろう。

小松帯刀は明治維新時の薩摩藩家老にして明治3年に早逝する前は新政府の重職にあった人物で、明治維新に大きな役割を果たしたとのこと。その肖像写真を見ると、役者の瑛太氏よりもはるかに意志の強そうな、しかしなかなかの好男子である。

ドラマに便乗するのであれば「篤姫弁当」となりそうなものだが、常磐軒がわざわざ帯刀の弁当を発売したのには理由がありそうである。掛け紙上の説明によれば、小松帯刀は小松家29代当主であり、またこの弁当は小松家36代当主考案とある。これだけでは謎かけのようでよくわからない話であるが、常盤軒のホームページを見ると同社の社長は小松久美子氏とあり、どうやら小松家36代当主というのはこの社長さんではないか、という推察が可能となる。さらにネットで情報を調べると、やはり常盤軒は小松帯刀直系子孫の会社であり、ドラマにも登場したお琴さんの生んだ男の子のその子供、すなわち帯刀の孫にあたる実業家、小松重春が鉄道局より構内販売の免許を得て大正12年に営業を開始した駅弁屋が常盤軒であるということである。なんでも帯刀が鉄道敷設建白書を提出し鉄道建設実現に貢献した功績が認められての免許獲得であったそうな。

明治5年に始まった日本の鉄道は、佐賀の大隈重信と長州の伊藤博文が中心となって推進したもので、薩摩の大久保利通は強硬な反対派であったというが、帯刀は薩摩出身でありながらこの間に入って鉄道敷設を実現させたということであろうか。そうだとすると帯刀はドラマさながらの調停能力を鉄道建設においても発揮したことになる。

常盤軒の社長にしても、これまでまさかご先祖様のドラマが放送されようとは思ってもおらず、したがって居ても立ってもいられずついにはその人の弁当を商品化してしまったということではあるまいか。

それはさておき、これまでも常盤軒は「薩摩」と名のつく弁当をいくつか販売し、また品川駅構内で経営する居酒屋に「薩摩屋敷」と名付けているのはどういうわけかと疑問を抱いていたが、これでようやくその謎が解けたことになる。

ついでに、なぜ小松家は大正も終わり近くになって品川駅で駅弁販売をやろうと志したのか、当時から薩摩を売りにした弁当があったのか、JRになって以降東京都の他の駅弁屋はNREの傘下に入らされてことごとく駅弁製造と構内販売からは撤退しているのになぜ常盤軒だけが維持できているのか、それでも中央会を脱退してしまったのはなぜか、など疑問に思っている関連の情報も併せて常盤軒よりホームページで説明していただけたら有難い。

弁当中身の紹介を忘れるところであった。さつまいも、さつまあげ、薩摩黒豚使用かもしれない豚角煮など薩摩名物に加え、たまご焼き、海老天ぷら、鯖みりん焼き、筑前煮などもある幕の内タイプでおかずにボリュームがあって食味も良好。高めの価格設定であるが、ご先祖の名に恥じない質実剛健なる内容と思う。
 
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