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<一筆投稿その36>「男声合唱とピアノのための組曲『鎮魂の賦』」について

 投稿者:baritono / wai  投稿日:2020年10月18日(日)21時29分8秒
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  作詞:林 望/作曲:上田真樹

 タイトルから受けるイメージは、『死』をモチーフとしているためか少しとっつきにく感があるものの、実際曲を聴いてみるとそんな感じは一切ない。聴けば聴くほど味わいがあり、新鮮にして心地よく筆者の耳に入ってくる。

  最近になって、初めて耳にする組曲の中では最も印象に残った作品。

  組曲は<1.時の逝く/2.家居に/3.鎮魂の呪/4.死は安らかである/5.春の日>の5曲で構成されている。

  この作品はもともと混声合唱の組曲だが、慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団の委嘱を受けて、男声合唱版が上田真樹さんにより編曲され、同団第139回定期演奏会(2014.11.22)で初演を果たしている。


  パナムジカはこの作品を以下のとおり的を得た紹介しているのでそのまま転載する。

・・・第18回朝日作曲賞を受賞し、作曲者が広く知られるきっかけとなった作品の男声合唱版。
  林望の書き下ろしの詩「鎮魂十二頌」からの5篇をテキストにしたこの作品は、作曲者自身が友人の死をきっかけに作曲されたもの。「誰か特定の人のためのレクイエムではなく、何か特定の宗教のためのレクイエムでもない。死を悼むレクイエムではなく、温かい気持ちで死者の魂と心を通わせられるようなレクイエム。すべての人がどこか懐かしく思えるような、無宗教レクイエム」(作曲者)。・・・


  ところで、レクイエムといえば、モーツァルト、フォーレ、ヴェルディが有名だが、これらを想像してはいけない。また「男声合唱及びオーケストラのための『レクイエム』」という男声合唱の不朽の名曲として知られる通称“三木稔のレクイエム”というのがあるが、これは“いかにも感”大有りで筆者にはしっくりこない。失礼ながら、聴いているのがしんどくなる。この『鎮魂の賦』はまったく別物。いわゆるレクイエム感をまったく感じさせないのが良い。

  ついでに言わせてもらうと、レクイエムという名称がつくものであれば、YouTubeに<千原英喜/混声合唱のための「レクイエム」―人麻呂と古代歌謡、ミサ典礼文による― より 「III. 相聞」>がアップされている。この「III. 相聞」を聴く限りなかなか斬新な作品だ。

  指揮:当間修一/合唱:大阪ハインリッヒ・シュッツ室内合唱団
  https://www.youtube.com/watch?v=76zDt2J3uNQ


■作曲者:上田真樹さんのこと■

  1976.6.4生れ。東京藝術大学音楽学部作曲科卒業。代表作に男声合唱組曲『終わりのない歌』(詩:銀色夏生)、男声合唱とピアノのための組曲『夢の意味』(詩:林 望)、男声合唱組曲「そのあと」、『酒頌』(詩:林 望)などがある。『終わりのない歌』※はVery Good。

  余計な一言になるが、写真を見るかぎり上田真樹さんはなかなかの知的な印象の美人ですよ。

※男声合唱組曲『終わりのない歌』
  https://www.youtube.com/watch?v=O47Bpb7tVUA
  早稲田大学グリークラブ 第59回定期演奏会((委嘱初演)) 東京文化会館大ホール2011.11.27
  作詩:銀色 夏生 作曲:上田 真樹 指揮:高谷 光信 ピアノ:塩見 亮
  1.光よ そして緑 2.月の夜 3.強い感情が僕を襲った 4.終わりのない歌 5.君のそばで会おう


■“鎮魂の賦”の意味■

 鎮魂は理解できるが“賦”に関してはよくわからなかったので筆者なりに調べてみた

***“鎮魂”とは
“鎮魂”とは言うまでもないが人の魂を鎮めることであり、今日では「鎮魂」の意味は死者の魂(霊)を慰めることとなっている。

***“賦”とは
  一方、“賦”というのは、ウィキペディアでは「賦(ふ)とは、古代中国の韻文における文体の一つ。唐の詩や宋の詞などと並び、漢帝国を代表する文芸である。」としているが、どうも筆者にはピンとこない。別途「西洋においては賦に類似するものとして頌歌が挙げられる」との一文があり、これが一番しっくりとくる。
 では、“頌歌”とはどういう歌なのだろう。

◆“頌歌”とは

「大辞林 第三版」の解説がわかりやすいので引用させてもらう。
・神の栄光・仏徳・人の功績などをほめたたえる歌。オード※。

※オード:
1 崇高な主題を多く人や事物などに呼びかける形式で歌う、自由形式の叙情詩。頌歌?(しょうか)?。頌賦?(しょうふ)?。
2 古代ギリシャ劇で、合唱するために作られた詩歌。

「精選版 日本国語大辞典」の解説では、
① ほめたたえてうたうこと。仏教や人の功徳・功績などを礼讚してうたうこと。また、その歌。
② 神の栄光をほめたたえる歌。
  としている。

  頌歌の一例としては、ベートーヴェンの交響曲第9番に使われたフリードリヒ・フォン・シラーの頌歌『歓喜の歌』が最も有名であり、パーセル、ヘンデルらの『聖セシリア祝日の頌歌』などがある。
「大地讃頌」の“讃頌”も同じ意味になるのであろう。


■「男声合唱とピアノのための組曲『鎮魂の賦』」

  慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団 第139回定期演奏会 2014.11.22
    指揮:佐藤正浩 ピアノ:前田勝則

   https://www.youtube.com/watch?v=ko3-56hMUfo (1.時の逝く)
  https://www.youtube.com/watch?v=eEqlZTxAXqE (2.家居に)
    https://www.youtube.com/watch?v=spubYPajehI (3.鎮魂の呪)
    https://www.youtube.com/watch?v=dG_Z9qrzRwE (4.死は安らかである)
    https://www.youtube.com/watch?v=0fBOSTx6Pf4 (5.春の日)


  ≪おわり≫
 
 
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